澄んだ水
おいしい空気に
どっぷり浸かる
新緑が少しずつ濃くなりだしてきた。先日、愛車をメンテナンスして数週間、ずっとどこかへドライブに出かけたいと考え、ついに行き先を長野に決めた。なんでも、知人に聞けば「木崎湖」では年中ワカサギが釣れるというのだ。そんなことを聞けば、本当かどうか確かめたくなる。出かけるには十分な動機だと、道具を車に積み込んで、長野に向け車を走らせた。
長野自動車道を安曇野インターで降り、見た目にも冷たいとわかる透明度の高い清流に沿って走る。頂上に残雪のある北アルプスの山々を眺め北上すること1時間弱。目的地の「木崎湖」を示す標識と同時に、強めの太陽光を反射する湖面が見えてきた。木崎湖畔にあるキャンプ場「木崎湖POW WOW」で車を停めドアを開けると、空気の質の違いを肌で感じる。空気中の酸素の量が違う気さえして、湖畔の木々の中、マイナスイオンを浴びた全身の細胞が活性化されていく。
今回お世話になった「木崎湖POW WOW」へは、ワカサギを釣りたい旨を伝え、事前に予約をしていたので、準備万端で到着を出迎えてもらえた。ここではエレキボートもレンタルできるが、あえて今回は手漕ぎボートを選択。当日のコンディションなどレクチャーを受け、ポイントへ向かってオールを握り漕ぎ始めた。
日差しを遮るものがない湖上は肌を刺すようなジリジリと強い日差し。さっきまでいた桟橋付近の木陰との気温差が大きいことに驚いた。ボートを漕ぎながら空を見上げると、雲ひとつない澄んだ青空を優雅に舞うパラグライダーの姿も確認できる。湖周からはセミの大合唱がサラウンドで耳に届いて、体感温度をさらに暑く感じさせる。
何年ぶりかの手漕ぎボートも漕ぎ出しはぎこちなかったものの、コツを思い出すにつれ漕ぐスピードも上がって徐々に楽しくなる。単純なこの動作がこんなにも楽しくなっている自分自身に気付いて笑みが溢れた。
教えてもらったポイントに着き、アンカーを下ろすと、早速「RGM spec.2」を取り出し、仕掛けをセット。年中釣れるという知人の言葉に希望を託し、湖面へと仕掛けを下ろした。竿先を上下に動かしてあたりを待つ間、セミの声に混じって、時折少し離れたところで魚が跳ねる音がする。日常と全く次元の違う世界に入りこんだなと思った矢先、微かなあたりを竿先に感じ、リールを巻きはじめた。
水中から放たれるいくつもの光りがどんどん近づいてくる。キレイなワカサギが何匹もかかっているではないか。手早く針を外しながらバケツのワカサギを見て思った。・・・本当に釣れるんだ。寒い時期の釣りのイメージしかなかったワカサギだったが、そのイメージはこれで変わった。
ボートの下に群れがいたのか、その後も立て続けにワカサギを釣り上げ、辺りの景色に目を奪われていた先程とは打って変わって、ボートの上は一気にせわしなくなった。サイズこそ小ぶりではあるが、数釣りとしては十分に楽しめる程、次々に綺麗な魚体が水面に上がってくる。これこそ釣りの楽しみの原点である。
小1時間ほどで容器一杯のワカサギを釣り、帰着。釣ったワカサギは、予約をすれば天ぷらセットが借りられる。せっかくの機会なので釣りたてのワカサギを味わってみる。
数時間ではあるが直射日光を浴びていた体がホッとするような木陰で揚げ物をはじめる。油の温度が上がるとパチパチと音がして、空気が澄んでいるからか、いつにも増して油の香りが鼻をくすぐる。揚げはじめると、更に森に天ぷらの香りが広がっていった。
カラッと揚がったワカサギには軽く塩を振るだけで十分。口に運んでサクッという触感と、後から来るあっさりと素朴な旨みにスナック感覚でついつい箸がすすむ。あっという間に山盛りの天ぷらをたいらげてしまった。
木崎湖POW WOW キャンプ場&アウトドアクラブ
- 住所
- 〒398-0001 長野県大町市平19004-1
- 料金
- 日券:¥1,000、年券:¥4,000
- URL
- http://kizakiko-powwow.com/
- 備考
- 貸竿、仕掛け、遊漁券の販売もあり。
貸天ぷらセットは要予約で。
出船時間等は季節によって変わるのでお問い合わせを。