ゆっくり歩く
都会のオアシス
バス停から公園へ歩いていると、内堀が見えてきた。すでに沢山のパラソルが立てられ、多くのつり人が思い思いの場所で釣りに興じているようだ。こちらも釣るポイントを探し歩く。じっと水辺に目を凝らしていると、何かの稚魚が群れを成して右へ左へと行き交っている。時折、キラリと翻る魚の腹が光るのが見え、次第にテンションがあがってくる。早い時間より多くの釣り人が集うのも納得できる。
自分なりにココだと思えるポイントを見つけたので、「RGM spec.3」に仕掛けを結び、はやる気持ちを抑えつつ、竿を出し浮子を見守る。当たりは何もまだ感じないが、糸を垂らすこの釣り始めの時は、子供の頃と変わらずワクワクする。
そのワクワクが冷めやらぬうちに、微かながらも浮子が小刻みに揺れだした。水中からこの浮子を引いている魚の正体は何だ?と思い巡らせていると、徐々に水の中へと浮子が引き込まれていく。竿を持つ手に少し力を入れると、生命感が伝わってきた。 釣れる!そう確信して竿を上げた。
テナガエビだ。
やった!手のひらいっぱいの思ってもいないサイズのお目見えに心躍る。 この高揚感は、昔も今も変わらない。もう一度、もう一度と思う気持ちから、体は自然と針に餌をつけては水面を見つめている。こうして釣り人はついつい時間を忘れてしまうのだろう。
その後もテナガエビをはじめ、様々な小物達との会話に夢中になっていたのだが、周りを見渡すと、常連のご老人達は木陰やベンチで昼食をとりはじめている。
テイクアウトにおすすめだよ。と友人からきいて、今日はコッペパンを買ってきたのを思い出し、かばんから取り出し、昼食をとる。コッペパンと聞くと、幅広い世代が給食で食べたちょっとパサッとしたあのパン。そんなイメージが強いが、ここ最近は、そのイメージが変わる進化を遂げ、駅や百貨店などにも店舗がでるほど話題にもなっている。
今回、亀有でテイクアウトした「吉田パン」のコッペパンはバターの風味もさることながら食感が思っていたコッペパンとは違い、しっとりふわふわしている。どんな風味の組合せがきても主役はパンであることを感じさせてくれる。店舗を訪れ、目移りするほどのメニューの数に気をとられていると、「いらっしゃいませ。」と、屈託のない笑顔の店員さんが声をかけてくれる。地元に愛されているという理由がすぐに理解できる。なるほど。友人に勧めたい店舗になるわけだ。
そんなコッペパンを水辺で頬張っていると、実に穏やかな時間の流れに身を置いていることに気付き、心を満たされて小さく深呼吸をしてしまう。昼食をとり、懐かしさや新しさを感じながら存分に遊んで納竿する頃には日差しの色が変わりはじめていた。
吉田パン 亀有本店
- 住所
- 〒125-0061 東京都葛飾区亀有5-40-1
- 営業時間
- 【月】7:30~13:00 【火~日】7:30~17:30 ※売切次第終了
- 定休日
- 無休
- アクセス
- JR亀有駅北口 徒歩5分、亀有駅から290m
- URL
- http://yoshidapan.jp/